新聞は、根拠に基づいた事実を、客観的に読者に伝えることが役割です。しかし、新聞やテレビといった旧来のメディアが根拠と客観性を問われることがあります。政治的見解から事実を解釈した偏向報道も注意するべきものでしょう。SNSによる個人を対象とした根拠なき誹謗中傷も、大きな社会問題になっています。また、インターネット上には根拠が疑わしい情報が映像という形で垂れ流されています。

 根拠のない、または曲解した根拠に基づく情報を批判的に捉える力は、これから長い人生を生きていく生徒にとって、とても大切なものです。生徒がメディアの制作を経験することは、その力を養う上で有効であり、早道です。記事を制作すれば、どのような書き方をすれば「嘘」になってしまうか、どうすれば「嘘」をつけるかがわかるからです。それを体感することは、様々なメディアから溢れてくる情報の真偽を見極める時に役立ちます。

 新聞の記事を書くことは、問いを立てることです。ある事実に対して、なぜそうなるのか、何が背景にあるのか、といった疑問の追求は、物事の本質に迫るきっかけになります。逆に、漠然と抱いている大きな疑問を、ある事実の調査・考察を通して考えることもできます。帰納的思考と演繹的思考を行き来することは、まさに探究学習と言えます。

 GEICが英字新聞甲子園を開催する目的はここにあります。新聞を古いメディアではなく、教育上のツールとお考えいただき、生徒の皆さんに英字新聞甲子園への応募を呼び掛けていただければ幸いです。