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国際バカロレア入門 融合による教育イノベーション

著者は千里国際学園中等部・高等部や設立準備から関わった同志社国際学院(インターナショナルスクール)の初等部校長を歴任した経験から、PYP、MYP、DPを全般的に紹介している。最終章で述べられている「IBと、自分たちのこれまでの教育との『つながり』を感じるところからスタートする・・・」という考え方は、我が国へのIBの導入にとって必要なことだろう。IBが生まれる下地となったインターナショナルスクールの歴史についての概観も参考になる。(ISBN978-4-905374-17-6)

国際バカロレア-世界トップ教育への切符

日本文学を専門とする著者が、シンガポールのUWCでの勤務経験を踏まえて、DPの六教科の中で「文学(第一言語)」を中心に、教育プログラム、評価、試験などの実際を解説している。卒業生アンケートではIBへの批判的な感想も紹介されている。著者は、IBの評価基準の考え方を「一つの方法として優れている」としているが、全体を通してIBを出来る限り客観的に紹介しようとしていることがわかる。我が国への導入を考える時に、必要な姿勢ではないだろうか。

国際バカロレア 世界が認める卓越した教育プログラム

本書の最大の特徴は、科学研究費補助金(平成16年~18年)により行われた、DP在学生(当時)と卒業生への聞き取り調査によりIBの教育プログラムの教育効果を客観的に提示させたことである。編著者の相良氏は国連大学事務局長や国立教育政策研究所(当時は国立教育研究所)の所長などを歴任、岩崎氏は現在も同研究所総括研究官であり、「国際バカロレアによる日本型公立高校モデルの構築に関する実証研究」の研究代表者でもある。また、アムステルダム、デュッセルドルフ、パリのインターナショナルスクールに勤務する3人のIB日本語教諭が、現場ならではの教育内容や教師像も紹介している。(ISBN9784-7503-2489-0)

国際バカロレアの中等課程プログラム(MYP)における体育科の特徴と展開

我が国の体育科の存在意義を考えるという問題意識から、MYPの体育の特徴を明らかにしつつ、我が国の体育カリキュラムと比較した論文である。東京学芸大学附属国際中等教育学校の体育の評価基準などを例示しながら、MYPにおける体育を詳しく紹介している。最終的にMYPと我が国の体育は、理念や評価基準が違うように見えて、実は類似している点が多いと結論付けられている。

国際バカロレア「文学」から学ぶ日本の国語科教育の課題

IB導入校の教員が、我が国とIBとの国語教育の違いを明らかにした論文である。国語の教育法は数多あるが、ここでは科学的「読み」の授業研究会の教育方法とDPの教科の一つである「文学(第一言語)」を比較分析している。文学作品の読み方を言語技術教育として捉えることを共通点としてあげている一方、教員の自由度とスキルの体系化、試験のあり方や評価基準の公開などの相違点を指摘している。我が国の国語教育の現場に、DPの「文学」の理念と方法論を発展的に取り込んでいくことを提唱している。

国際バカロレアとの比較をとおしてみた高校学校教育課程の現状と問題点

学習指導要領に基づき高等学校教育課程の変遷を概観しながら、DPと比較して相違点を明らかにすることにより、我が国の高等学校教育を国際的標準から評価しようとした論文である。科目別の学習だけを見れば、それぞれの週当たりの授業数はDPの方が少ないが、DPには我が国の高等学校にはない「必修コア」と呼ばれるEE、TOK、CASの時間が確保されており、これがDPの特徴となっている。IBは授業外の学習活動の時間が確保されているが、我が国のDPの導入校で空き時間などの時間的余裕がなく、通常の高等学校よりも授業時間数が多くなっていることも指摘されている。

国際バカロレアの評価方法にみる能力観

IBに関する先行研究が、どのような能力育成を目的としているによって様々な視点からなされているものの、その能力をどのように育成しているかが明確ではないとの問題意識から、MYPの評価基準の設定、及びその教育と測定の方法について、加藤学園を事例としながら分析した論文である。MYPが「生産性」と「創造性」を重視し、それを達成する手段として、思考や表現のフォーマット(型)が複数用意されており、生徒はそれを選択的に活用することで独創性を生み出している、と指摘している。

国際バカロレア・ディプロマ科目「知識の理論(TOK)」と総合的な学習の時間

総合的な学習の時間が、知識基盤社会への対応、ひいてはグローバル人材の育成に必要な能力の育成のためにあるとして、その課題解決にDPの中核となるTOKから示唆を得ようとする研究である。総合的な学習の時間で育てようとしている、自ら課題を見つけ、調べ、主体的に判断して解決するという能力は非言語的知識であるため、そのカリキュラム化や評価基準の設定が確立できておらず、それを可視化しているTOKの参考になる部分と課題が整理されている。我が国での「新しい能力」観の変遷を示した一覧表を見ると、同様の試みが繰り返されてきていることがわかる。

日本の中等教育における国際バカロレア導入の利点と課題

我が国の中等教育にIBを導入する場合の利点と課題について、教科外活動とMYPに注目して考察した論文である。我が国の教科別の教育から見ると、IBでは教科間連携、あるいは教科横断型の教育が行われる、「教科外活動」にという考え方自体がない。だからこそ、逆に我が国のカリキュラムに位置づけられている教科外活動(道徳、総合的な学習の時間、特別活動)を教科指導とどのように連携させるかという課題は、IB、あるいはその教育理念を導入する時の課題と可能性を考えるヒントになる、という視点で書かれている。

人材育成に向けた教育の在り方−国際バカロレア教育の現状と普及への課題−

参議院調査室が発行する調査情報誌『立法と調査』に掲載された論文で、グローバル人材育成の観点からIBについての評価、今日的意義、我が国での普及のための課題や施策などをまとめている。他にも、DPの始まりに深く関係しているUWCの紹介や、1979年度以来の我が国からIBOへの拠出などにも言及されているが、特に国内での評価についても一般論としてではなく、誰が言及したものであるかが根拠とともに明示されている。脚注も参考になるだろう。

国際バカロレア・ディプロマプログラム Theory of Knowledge(TOK)について

文部科学省初等中等教育局により、IBのディプロマプログラム(DP)の中核をなすTheory of Knowledgeについて行われた調査研究報告書である。調査研究協力者は、玉川学園高等部、立命館宇治中学校・高等学校、東京学芸大学附属国際中等教育学校など、IBのプログラムを導入している学校の教員が多数加わっている他、国立教育政策研究所の研究官、及び初等中等教育局の調査官などから構成されている。特にTOKとは何か、その指導・評価体系などが、前述の学校の事例とともに解説されている。他にもIBOやPYP、MYP、DPの3つのプログラムなど、国際バカロレアの基礎知識も簡単ではあるが、まとめられている。